絹ってほんとうに食べられるの―「新発見 食べる絹」
絹(シルク)入り食品登場
「絹を食べる。そんなことどうして考えたのか。馬鹿もほどほどに言え! 絹は着るもので食べるものじゃないぞ」
全くその通りです。数千年も昔から絹は衣料として使われてきました。黄金に匹敵するほど高価なものでした。
しかし、すでにシルク入り食品、たとえばケーキ、クッキー、そば、うどん、飴、ゼリー、アイスクリーム、お粥など挙げればきりがないほど「シルク食品」が売り出され、好評を博しているのが現実です。
ここ数年のうちになぜこんなことになったのか、その事について第一章でお話したいと思います。健康面への効果や食品化の科学については第二、三章で詳述します。
日本唯一の工学系絹学科
そもそもの仕掛人はこれを書いている私自身です。「絹を食べる」ことは偶然思いついたわけではありません。ちょっと横道にそれますが、私の身の上話を申し上げれば納得がいくかと思います。
昭和三十年、信州大学繊維学部製糸学科を卒業した私は、昭和三九年、信州大学に大学院が出来たのを契機に繊維工学科繊維物理学講座に席を置き、呉祐吉先生の指導を受けることになりました。
製糸学科は、蚕の繭から糸をとり絹糸にするまでの工程を教え、その技術者や研究者を養成することを目的に設立されました(製糸学科は改組され繊維工学科に)。
ここで『柞蚕フィブロインの構造と物性』というテーマで絹の研究に従事したわけです(フィブロインとは、蚕の体の中の絹のこと)。その後母校の教官となり、東京農工大学製糸学科に勤務することになりました。日本で唯一、工学系での絹学科です。
つまり、学問的伝統の上に〝食べる絹〟は生まれるべくして生まれたわけです。
「絹を食べる。そんなことどうして考えたのか。馬鹿もほどほどに言え! 絹は着るもので食べるものじゃないぞ」
全くその通りです。数千年も昔から絹は衣料として使われてきました。黄金に匹敵するほど高価なものでした。
しかし、すでにシルク入り食品、たとえばケーキ、クッキー、そば、うどん、飴、ゼリー、アイスクリーム、お粥など挙げればきりがないほど「シルク食品」が売り出され、好評を博しているのが現実です。
ここ数年のうちになぜこんなことになったのか、その事について第一章でお話したいと思います。健康面への効果や食品化の科学については第二、三章で詳述します。
日本唯一の工学系絹学科
そもそもの仕掛人はこれを書いている私自身です。「絹を食べる」ことは偶然思いついたわけではありません。ちょっと横道にそれますが、私の身の上話を申し上げれば納得がいくかと思います。
昭和三十年、信州大学繊維学部製糸学科を卒業した私は、昭和三九年、信州大学に大学院が出来たのを契機に繊維工学科繊維物理学講座に席を置き、呉祐吉先生の指導を受けることになりました。
製糸学科は、蚕の繭から糸をとり絹糸にするまでの工程を教え、その技術者や研究者を養成することを目的に設立されました(製糸学科は改組され繊維工学科に)。
ここで『柞蚕フィブロインの構造と物性』というテーマで絹の研究に従事したわけです(フィブロインとは、蚕の体の中の絹のこと)。その後母校の教官となり、東京農工大学製糸学科に勤務することになりました。日本で唯一、工学系での絹学科です。
つまり、学問的伝統の上に〝食べる絹〟は生まれるべくして生まれたわけです。